代表挨拶

フィットテスト研究会は、新型インフルエンザの大流行時(2009年)の反省から、多くの医療従事を呼吸器感染から守る必要性が指摘され、マスクの顔面への密着性を促進する技術や手法(フィットテスト)を研究しその普及を図る目的で、2010年に設立されました。これまで、医療関係従事者等に対しフィットテストインストラクター養成講座を開催し、2017年度までに28回を全国で開催しました。750名以上の熱心なインストラクターが誕生し、医療従事者を守るためのフィットテストの普及に全国で活躍しています。近年はインストラクターのネットワークが広がり、様々な教育や現場での職業感染管理などの改善活動が展開されるまで広がっており、これはまさに感染管理や産業保健に携わる方々の成果と嬉しく思っています。
一方、産業現場での呼吸器保護の取り組みは、防じんマスクの規格の制定や着用の義務化、各企業の取り組み、保護具メーカーによる支援などが進んできました。しかし、防じんマスクの顔面への密着性を促進する技術や手法(フィットテスト)に関しては、その普及や啓発が必要と感じています。特に、アスベストなど吸入性有害化学物質による健康障害は過去のものではなく、現在も解体作業などで多くの労働者が曝露し、新規有害化学物質への曝露防止としても、呼吸用保護具をまず先に「適切に」利用すべき機会が増えてきています。
本研究会は、呼吸用保護具の適切な利用にあたっての「フィットテスト」に焦点をあて、フィットテストの実施と指導を現場で行うフィットテストインストラクターの養成とともに、フィットテストに関する学術的研究と普及について、研究者、労働衛生専門家、実務者等の交流を積極的に行っていきます。本研究会がフィットテストに関する呼吸用保護具の適正な使用と選択に寄与することができればと幸いです。
2018年7月
フィットテスト研究会 産業部会
代表 吉川 徹
代表 吉川 徹